- 2012年3月13日 04:47
- 日々のこと。
震災から一年が経ちました。去年の私は予定通りにcanvas&clothとの展示をしていました。いろいろな事が立ちはだかっても、自分たちのやるべき事はやる。そしてひとりでも出会える人に感謝する、このスタンスは今でも変わりないです。
一歩一歩、歩いてゆくしかないのです。今この時を大切にしてゆきたいと常に感じています。
心にひとつ思い出があります。母の実家は福島でした。でも母は物心ついてからは横浜に暮らしていたので福島とかかわり合う事はあまりありませんでした。
私が中学生だった頃、大好きだったひいおばあちゃんが亡くなりました。とても穏やかで心持ちの美しい人でした。いつも私と母がけんかしていると、その間を取り持って優しく話をしてくれたのです。「お母さんにあやまってこっせー。」って優しく穏やかに話しかけてくれました。
ひいおばあちゃんが亡くなってから、そのひいおばあちゃんの妹の「タキコおばあちゃん」がまだ健在である事を随分後に知って、福島に尋ねて行ったのです。今考えてもそれは不思議な事。一度もあった事が無いのに心が突き動かされたのです。写真はそのときに撮ったタキコおばあちゃんの手。昔の話しを聞かせてくれました。
初めてあう自分と血の繋がった人。不思議でした。ひいおばあちゃんとは少し違ってとても豪快で、勢いがあって、ニコニコとした顔が忘れられません。だんなさんを亡くしてからは一人暮らしのおばあちゃん。強い空気が漲っていて、私と母が訪ねて行った事を「神様のお陰」って話していたのには感銘を受けました。
その後は何年もの間、友だちと遊びに行ったり、母と訪ねていったりしました。
その後ひいおばあちゃんの妹の「タキコおばあちゃん」は老人ホームで亡くなりました。
私とは随分と遠い縁だったので、お葬式には呼ばれませんでした。
でも今もタキコおばあちゃんと福島の海へ海水浴に行った事は美しい思い出です。
タキコおばあちゃんはしゃがんで小さくなって、日傘をさしながら私が遠くまで泳いで行くのをみていました。「あぶねっっから帰ってこっせー!」と、大きな声で叫んでいたのを今も思い出します。
タキコおばあちゃんと若い日の私。
その美しい海で今は泳げなくなった事が悲しいです。思い出はいつまでも残って行きます。でも、それをまた次の世代に繋げて行けるようになって欲しい。
心からそう思います。あの美しい海はみんなのものだから。
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