この写真はガンジス川ではありません。鎌倉の海と大仏前です。
ガラの看板ナン職人ジットさんです。
私が茅ヶ崎のインド料理店GARAで働いていたのはもう10年くらい前になる。
先日は元スタッフ、現役のスタッフも含めての同窓会。
スタッフがすごく仲が良くて、辞めてからも時々会っている。しかも辞めているのに新しいスタッフもどんどん仲良くなるから、当時どのメンバーが重なっていたのか分からないほど。
なんだか当時は若くてみんなが一生懸命だったので、学校のように泣いたり笑ったり、怒られたりした事を話して、今はみんながそれぞれの道を歩んでいるのが感慨深い。
私は当時3足のわらじ。土日に結婚式のカメラマン、帽子も少しづつ始まって、平日はGARAの厨房で働く日々。どの仕事も全部好きだったのでめまぐるしい毎日だった。
貯蓄が出来たら旅をしたい。でもそこにある生活はいつでも大事だった。お金を貯めるだけの仕事なんて全然面白くないし。
そういえば菜文さんとはこの時にお客さんとして会っているんだよなー。菜文さんはガラスタッフ、アドちゃんの友人でした。
まさか今こんなに会ったり一緒に仕事したりするなんてその時は思わなかったから、縁ってあるんだよな。やっぱり。
ガラスタッフは今でも不思議な縁で結ばれていて、アドちゃんには約10年前に初めてAtelier Kikaに連れて行ってもらったし、しかもAtelier Kikaの内装を手伝っていたのが菜文さんのだんな様って後から聞いてビックリだし。
それからガラのスタッフだったその名も糸ちゃんちは毛糸工場で、毛糸を大量に頂いたり...。
その後ガラを退職した子が働き出したお店で帽子を扱ってもらう事になったり。
とにかく、ここからいろいろな事が広がって行った。
それにしても土日に働けない飲食店店員なんてあり得ないのによくぞ雇ってくれました。
だからこのお店は楽しかった。いろいろな個性の人が雇われて、それぞれが夢を持って頑張っていたように思う。
雇ってくれた料理長、今でも応援してくれる社長には感謝せずにはいられない。
この懐の深さが今でも皆が仲良くしていられる理由なのかも。
厨房にて、山のように仕入れられたイワシをひたすら三枚におろしたり、朝はいちばんに出社して氷水に浸したレタスをちぎったり(手がしびれる!)、大きな赤ちゃんが入ってしまうほどのボールにドレッシングを仕込んだり、サフランライスをドキドキしながら炊いたり...。
インド人スタッフに囲まれてこつこつと頑張った。
その時の厨房には女が私ひとりで、時々インド人スタッフと泣きながらの大げんかになったりしたけど、結局は仲良くしていて、ゾロゾロと仲良しスタッフで鎌倉のお花見と大仏を見に行ったのは、今思い出しても渋い光景だ。
そう言えば皆でディズニーランドにも行ったよなー。それもファンタスチックな光景It's a small worldだ。
お昼のまかないは毎日カレーとナン。
履歴書の特技だったか私の趣味の欄には「カレーを作る事。」と書いたほどカレーが好きで全然飽きなくて、インド風のシャバシャバしたカレーが特にお気に入りだった。
インド人のスンダールさんに「朝昼晩カレーで飽きないの?」って誰かが聞くと
「毎日同じではないデスよ!」って否定された。どうやら違うらしい。
確かにその中の具は毎日違っていて旬のものを使っていたし、それが飽きない理由だったのかと思う。苦みばしったゴーヤのカレー、それから舞茸とかエリンギの入ったカレーも好きだったな。豆のカレーも捨てがたかった。
美味しい料理と、楽しい仲間、尊敬する人と、ゆっくりとした時間。
お腹いっぱい、心も満たされて、やっぱりシンプルに頑張っていこうとそれぞれに散ってゆく。
それは、いままでとこれからの大事な場所がそれぞれにあるからだよね。
3年くらいここで働いた後、私は長い旅に出てその後Atelier Kikaで初めての個展(帽子+写真)をしたのでした。