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手仕事

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奄美大島で染めてきた毛糸はやっと玉になって出番を待っています。
そして徐々にですが帽子が出来上がってきました。大地そのもののような力強さと、包み込むような優しさに満ちています。
奄美の工房では毛糸を染めて、帽子を作ると言ったら驚かれました。あまりそう言う人はいないようで、工房の主さんは何度も「帽子は良いねー、聞いた事無いねー」とつぶやいていました。
染めてみてどうしてだかよくわかったのは、毛糸は染まりにくいのです。元々の大島紬の糸を染めていたものなので、動物の毛の油分は染料をはじいてしまうのです。
なので同じ行程を何度も何度も繰り返してやっと染まったのが、今回の毛糸です。
工房の社長さんには「今度はもっとたくさん持ってきて、毎日染めにきたら良いよー」、と言ってもらったので、今度はもっと滞在を長くしようかな。頑張る私の姿を見て、社長さんはお昼にサンドイッチを買ってきてくれました。奄美の人は暖かいです。
心地よい疲れのお昼休み、工房でサンドイッチをほおばりながらぼんやり出来上がる帽子に思いを馳せていました。

カメラも持って行ったので、工房でモノクロ写真を撮影してきました。こちらもじっくり作業します。職人さん達の技と歴史がその空気を作ってきたのでしょう。あそこの空気を焼き付けたいと思いました。写真はそれが出来るから好きです。
「写真と帽子どちらが本業ですか?」と、よく聞かれます。「どちらも本業です」と答えますが、あまり仕事に区別をつけていません。
1番と2番を決める事は出来ませんし、どちらもがつながって、どんどん違う形になってゆく。もともとは写真を勉強した私ですが、まさかこんな風に旅先で職人さん達に混ざって毛糸を染めているなんて夢にも思いませんでした。それもこれも人との出会いが一番大きいような気がします。勉強は二の次で、人との出会いが次の道を作っていく。不思議です。
ただただ、好きな事を追いかけていたらこういう仕事の形になった。それを応援してくれるたくさんの人に恵まれています。
これからもまた違う事を見つけたら真剣にやるんだと思います。先が想像できないから面白くもあり、怖くもなる。でもその途中で出会う人がいて道が開けてくる。この繰り返しで、少しずつですが前に進んでいるように思います。
私が大切にしている事はいろんな場所に転がっているなーと、旅を通して気付かされます。

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